シンガーソングライターLaufey が運営する「The Laufey Book Club」について解説します。
Laufeyの音楽が好きな方や本好きの方におすすめです。
無料で参加できますよ。
The Laufey Book Clubって何?
The Laufey Book Clubとは、Laufey自身が愛する小説を皆で読むオンライン読書会のことです。
Laufeyは音楽の才能に長けているだけでなく、とても感度の優れた読書家としてTwitterやInstagramなどで以前から情報を発信していました。
2022年5月3日のTikTokでLaufeyが「do we want a laufey book club?」とコメントしています。
ここから企画が立ち上がり、その夏ついに始まったオンライン読書会専用コンテンツがこの「The Laufey Book Club」です。
2022年から毎月一冊ずつ課題本を選び、月末にInstagram Live上で生配信を行っています。
The Laufey Book Club(Instagram)
Laufeyが自室から寛いだ雰囲気の中30分ほど本の説明や感想を語り、その後チャットを通して視聴者との質疑応答へと続きます。
読書会と言ってもかなりリラックスした配信で、素のLaufeyを見ることができる貴重な機会でもあります。
The Laufey Book Clubファンクラブも存在?!
ファンが読書サイト「goodreads」上にファンたちがThe Laufey Book Clubのファンクラブを作っています。
Laufeyのファンの人たちやThe Laufey Book Clubに触発された読書家たちが他にどんな本を読んでいるのか、goodreads上のこのグループを見ると知ることができ、大変興味深いです。
ちなみにLaufey本人はこのグループには参加していないようです。
The Laufey Book Club入会方法
入会方法
The Laufey Book Clubのサイトにアクセスします。
初期画面では電話番号の登録画面が出ます。
ここに電話番号を入れれば登録完了です。
登録が完了したらSMSでメッセージが届きます。
登録画面の右上に電子メールのボタンをクリックするとメールアドレスでの登録も可能です。
![](https://harukuri.com/wp-content/uploads/2023/05/the-laufey-book-club-2.jpg)
登録が完了するとこのような登録完了メールが届きます。
文末の「unsubscribe」ボタンを押すと登録抹消ができます。
![](https://harukuri.com/wp-content/uploads/2023/05/laufey_bookclub_mail.jpg)
The Laufey Book Clubに入会すると、Instagram Live開催前にお知らせメールが届くようになります。
会費はかかる?
会費はかかりません。
Laufeyは純粋に趣味の延長としてこの活動をしているようです。
The Laufey Book Clubに入ってみた
私も4月にThe Laufey Book Clubに入会してみました。
残念ながら入会後のInstagram Liveが開催されていないので、登録完了以外のお知らせメールはまだ受け取っていません。
これまでの課題作品
全体的に「とても分かってる読書家」のチョイスという印象です。
和訳の存在する作品については日本語版を紹介します。
2022年8月『少女ソフィアの夏』トーベ・ヤンソン
2022年8月31日にThe Laufey Book Club『少女ソフィアの夏 / トーベ・ヤンソン』読書会がInstagram Liveで開催されました。
The Laufey Book ClubとしてのInstagram Liveはこれが初回となります。
当日の模様はアーカイブで視聴可能です。
作者のトーベ・ヤンソンが住むフィンランドは緯度的にLaufeyの故郷アイスランドに近いため、短く貴重な「夏」の捉え方に親近感を覚えるのも納得です。
『少女ソフィアの夏』は私にとっても大好きな作品です。
夏休みの間、特に優しくもない祖母の家に預けられる少女ソフィアの物語です。
祖母とソフィアの関係がクールに個を大切にしているのがとても良いです。
2022年9・10月『黙約』ドナ・タート
2022年10月23日にThe Laufey Book Club『黙約 / ドナ・タート』読書会がInstagram Liveで開催されました。
『黙約』は1993年に発表されたアメリカの作家ドナ・タートのミステリー小説です。
なお、2017年に出た日本語版には巻末に村上春樹による解説が収録されています。
当日のInstagram Liveの模様はアーカイブで視聴可能です。
今回、Laufeyはアイスランドに滞在中で、手元に本のない状態で作品の解説や感想を語っています。
本を見なくてもその内容を深く語れるほどに深く親しんだ作品であることがうかがえます。
Book Clubの配信の中でLaufeyはリスナーに8つの質問を出し、チャット上で回答を募りました。
作品に関する様々な意見を募り、参加者の読書をさらに深いものへと導きます。
読書会のファシリテーターとしてのポテンシャルの高さを感じました。
2022年11月『Shanghai Girls』リサ・シー
2022年12月4日にThe Laufey Book Club『Shanghai Girls / リサ・シー』読書会がInstagram Liveで開催されました。
残念ながら日本語版は出版されていません。
当日のInstagram Liveの模様はアーカイブで視聴可能です。
1930年代の上海に生まれ育った姉妹が戦争により祖国を捨てアメリカに向かうという物語です。
主人公姉妹が落ち着く先がアメリカ西海岸だったこと、自分の母親が中国人であること、1930年代に自分の曽祖父も中国で戦争を体験したことなど、Laufeyにとっては身近に感じる小説だったようです。
小説の中で干支についての言及があります。
主人公姉妹の姉パールの干支は「辰」で、彼女がいかに「ドラゴン」のように振舞うかが多く語られます。
逆に妹メイの干支は「未」で、やはり「ヒツジ」のようにおだやかで控えめなキャラクターとして描かれています。
2022年12月『Small Things Like These』クレア・キーガン
2023年1月1日にThe Laufey Book Club『Small Things Like These / クレア・キーガン』読書会がInstagram Liveで開催されました。
残念ながら日本語版は出版されていません。
当日のInstagram Liveの模様はアーカイブで視聴可能です。
今回はアイスランドからの配信でした。
クレア・キーガンは私も大好きな作家です。
日本では『青い野を歩く』だけしか翻訳されていませんが、この一冊だけで多くの海外文学ファンの心をとらえて離さない、素晴らしいアイルランドの小説家です。
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Laufey曰く『Small Things Like These』は100ページちょっとの短い小説ながら、そこに含まれるストーリーはとても深く壮大です。
私は『青い野を歩く』を読んだだけですが、クレア・キーガンがそういう力を持つ作家であることには全く同意です。
『Small Things Like These』は20世紀初頭まで実際に存在したアイルランドの「マグダレン洗濯所」を舞台とした物語です。
未婚の母親を矯正する施設として非人道的な運営をされていた「マグダレン洗濯所」の実情については、映画『マグダレンの祈り』で詳しく描写されています。
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クレア・キーガンはこの作品で2022年のブッカー賞にノミネートされました。
名作であることはまず間違いないので『Small Things Like These』が日本語で読める日が来ることを願っています。
2023年1月『Elektra』ジェニファー・セイント
2023年2月5日にThe Laufey Book Club『Elektra / ジェニファー・セイント』読書会がInstagram Liveで開催されました。
残念ながら日本語版は出版されていません。
当日のInstagram Liveの模様はアーカイブで視聴可能です。
なんとこの日の配信では作者のジェニファー・セイント自身がゲストとして参加しています。
作品はギリシャ神話を元にした物語のようで、正直「なぜこの作品を?」と思ってしまうほど他の課題本とテイストが異なっています。
Book Clubに作者本人を迎え、「神話に対しどれだけ忠実であるべきか?どこまで創作するか?」といった深いディスカッションがLaufeyとの間で交わされました。
2023年3月『Sex and Rage』イヴ・バビッツ
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2023年3月の課題本『Sex and Rage / イヴ・バビッツ』読書会が2023年4月3日にInstagram Liveで開催されました。
視聴者数は1万7千人(アーカイブ込み)。
Laufeyによるアウトプットの後、チャットを通して活発な質疑応答が交わされました。
当日の模様はアーカイブで視聴可能です。
イヴ・バビッツは1970年代にロサンゼルスで活躍した女性作家です。
残念ながら日本では彼女の作品は一冊も翻訳されていませんが、イヴ・バビッツについては『CDジャーナル2020年秋号』掲載の山崎まどかさんのコラムで詳しく紹介されています。
当時、ロサンゼルスのミュージシャンやアーティストと次々と関係を持ちつつ、自らも文筆やデザインで素晴らしい作品を残したという大変興味深い女性アーティストです。
今回の課題本『Sex and Rage』以外にも、バッファロー・スプリングフィールドのファーストとセカンドアルバムのコラージュもイヴ・バビッツの作品としてよく知られています。
2017年に復刊された『SEX and Rage』はLaufeyのような若い読者から熱狂的に支持され、多くのインスタグラマーたちがその書影をInstagramに投稿しました
イヴ・バビッツのプロフィールはLaufeyとはあまりにも遠いように思ってしまいますが、I父親がロサンゼルス交響楽団のバイオリン奏者だったり、同じロサンゼルスで戸惑いながら強く生きる姿に親近感を覚えると、Instagram Liveの中で語っています。
日本では全く知られていないイヴ・バビッツですが、2000年代以降同じように再発見されてベストセラーになったルシア・ベルリンのように、彼女の作品も邦訳が出て多くの読者に受け入れられる日が来ると良いですね。
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2023年4月『思春期病棟の少女たち』スザンナ・ケイセン
ウィノナ・ライダー主演映画『17歳のカルテ』の原作本です。
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2023年4月の課題本『思春期病棟の少女たち / スザンナ・ケイセン』読書会はまだ開催されていません。(2023年5月23日現在)
ちょうどワールドツアーが始まってしまったのでイベントの開催はしばらく難しいのでしょう。
日本語版も出版されていますし、ジェームズ・マンゴールド監督、ウィノナ・ライダー主演の映画も存在します。
日本のファンにも手に取りやすい作品で、まだオンライン配信も開催されていないのでぜひ読了してInstagram Liveに参加してみてはいかがでしょうか。
Laufey Book Club ミュージック・プレイリスト
Spotifyで「Laufey Book Club」に合わせた音楽のプレイリストが公開されています。
ミュージック・キュレーターはLaufey Lin、つまりLaufey本人です。
クラシック曲中心のプレイリストですが、その中にイタリアの映画音楽家ピエロ・ピッチオーニが異彩を放っています。
ピッチオーニの中でも特に読書のBGMに合いそうな一曲です。
まとめ
毎回課題本のチョイスがとても興味深い読書会です。
Laufeyファンの方、読書家の方、ぜひLaufey Book Clubに参加してみてはいかがでしょうか。
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